ラルムダンジュ(天使の涙)が誕生するまで-誕生秘話


    あるところに、ちょっと鈍感なパパがいました。

 奥さんのお腹に赤ちゃんが宿って、ちょっと嬉しくなりました。
  しかし、実際に生まれると、なんと赤ちゃんの可愛いこといったら・・・。
   鈍感なパパも気がつかない訳はないほどの可愛さ。
    もう、ちょっと嬉しいくらいでは済みません。

 まずは、特別に可愛いその赤ちゃんにぴったりの名前をつけました。

 そして、生まれた日の新聞が記念品になるといわれれば、
  生まれたときの新聞を記念にし、
   手形が記念に残るといえば、手形を取り、
    胎毛筆というものがあると聞けば注文し、
     ベビーリング・・・、と何でも。
 自分がどんなに可愛がっていたのか、形で残そうと思っていたのでしょうかね。
  写真なんか、すぐにアルバムが何冊にも・・・。

 もう、親バカを超えて、本当のバカ親です。
  でも、可愛くてしょうがないのですから、放っておくしかありません。

 そんなある日のこと、
  ”泣くのは運動だからすぐに抱っこしてはいけない”といわれていたパパは、
   いつものように、"いつ抱っこしようかなぁ"と考えながら、
    かわいらしく泣いている赤ちゃんの泣き顔を見ていました。
その時、ふと、赤ちゃんの涙の綺麗さに気がつきました。
 ”これが、このままのこせたらなぁ〜。”
     (普通なら、それからすぐに、ラルムダンジュ(天使の涙)が誕生するはず・・・。)
 しかし、赤ちゃんを抱っこしたくてしょうがなかったパパは、
  "もう、良いだろう"と赤ちゃんを抱っこして、
   さっきのことはすっかり忘れてしまいました。

 それから数日後のこと、
  パパがテレビを見ていると、ある家族が
   「うちには特別な記念品があります。
    子供の夏休みの工作のアイディアを特許にしてあげたんです。」
     といって特許証を見せていました。

 「ムムッ、特別な記念品だと。それなら、うちの娘にも絶対必要だ。」

 でも、赤ちゃんが夏休みの工作を作るのはずっと先の話、
  「そうだ、生まれた記念の特許にすればいいんだ。
    そういえば、この間、涙が残せたらと思ったっけ。」
 それからは、毎日毎日、
  どうやったら何年もの間、蒸発させないでとって置けるのか?
   どうやったらカビが生えてきたりしないのか?
   研究に研究を重ねて、漸く赤ちゃんの涙を記念として残すことに成功、
    誕生を記念する特別な記念品の特許も出すことが出来ました。
 パパは、自分の赤ちゃんの涙を記念に残すことが出来たし、
  赤ちゃんのための特別な記念品である特許も出したし、
   十分に満足。メデタシメデタシ。
    (ここでも、ラルムダンジュ(天使の涙)は誕生しませんでした。)

 それから数年が立ち、
  パパの周りの人が赤ちゃんを産んで、
   その人たちも"赤ちゃんの涙が記念に残せたらいいな"
    と、思っているという事に鈍感なパパもようやく気づいて、
     これは、自分のものだけにしておいてはいけないかも・・・。
      誰か、世の中に出してくれないかなぁ〜。
       みんな喜ぶと思うんだよなぁ〜。


 鈍感なパパのせいで、世の中に出ることもなく終わってしまいそうな何度もの危機を乗り越え、ここで漸く、ラルムダンジュ(天使の涙)が誕生することになりました。


 

        

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